人はなぜキスをするのでしょうか?ほとんどの人があまり考えたことはないと思います。キスは愛情表現であり、性行為の段階で、欧米では挨拶という文化でもあります。
ここで、キスの起源や歴史、「人はなぜキスをするのか?」などについてリッチに調べてみました。
キスの起源は?
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「旧約聖書」には何の説明もなくキスの絵が描かれています。およそ2500年前のアダムとイブの時代からキスという行為が存在していたようです。キスの起源には諸説ありますが、大きく分けて3つの説に分けられます。
その1. 尊信説
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国王や僧侶など、当時の民衆が尊敬に値する人物に尊敬と信頼の意思表示の手段として、キスをはじめたという説です。
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その2. 哺育説
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動物が自分で噛み砕いた食べ物を、子や仲間に口移しであげる行為が進化したものとする説。
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その3. カニバリズムという慣習
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有史以前の世界で呪術的信仰や宗教儀礼として人肉を食するカニバリズムという慣習があったといわれ、それが潜在的に人間の遺伝子に受け継がれているとする説です。
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その他ユニークな説もある
◆激情説:人間は激情すると本能的に噛みつきたくなるという性質があることから、唇を合わせるようになった。
◆所有説:自分の所有物であるということを表明するために口をつけたり、舐めたりする行為が起源だという。
◆性欲説:人間の性欲を満足させるために、妻の口の中に舌を入れる習慣があった。
◆医療説:病人に口づけすることで病気を吸いだそうとする医療行為。
その他、さまざまな説があるようです。
猿や動物もキスをする?
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動物園で見かけるチンパンジーやゴリラなどは、檻の外から観察していると、人間と同じような行動をしていますね。人間の次に知能が高いと言われる類人猿だからでしょうか?たまにキスをしている姿を見かけることがあります。
しかし、人間が解釈するキスの行為ではなく、キスに似た行為をしているにすぎないのかもしれません。
チンパンジーは他のチンパンジーに不満があるとケンカをしますが、ケンカの後、仲直りのしるしにキスをすることがよくあるそう。また、ケンカに発展するのを避けるために、普段から度々キスを交わすことも知られています。
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人間に限らず、多くの動物のキスのような行為の起源として有力な説は、噛み砕いた食べ物を口移しで相手に与える行為だったのではないかと言われています。食べ物の口移しは鳥もチンパンジーも、そして多くの人間もやる行為です。
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日本で初めてのキスは?
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日本で最初にキスが描かれたのは、平安時代末期。現存する日本最古の説話集「今昔物語」。この中の「参河守大江定基出家セルコトの条」には「口を吸う」という表現で、キスが描かれているのです。
戦国時代には、安土桃山時代を築いたあの豊臣秀吉が、側室の恋人、淀君に宛てて送った手紙の中に、「口吸い」という表現で愛を伝えていた記録が残されています。それまで「口を吸う」「口吸い」と表現されてきたキスは、明治に入ると、動物の口や鼻周辺を表す=吻を接触させるという意味から、「接吻」と呼ばれるようになりました。
さらに明治26年、翻訳家・上田敏の手により、「接吻」のルビに「クチヅケ」と記したのがきっかけとなり、以後、「クチヅケ」が広く定着したと言われています。
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口吸い→接吻→クチヅケと変化し、現代のキスと呼ばれるようになったのですね。
そもそも、唇を重ねるのはなぜなんだろう?
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とても単純な発想。気持ちがいいから!?
唇には末梢神経が集まり、身体の中でもとても敏感なパーツなんだとか。これは、何となく解りますね。見つめ合う→唇を合わせる→欲情→身体を重ね合わせるのようにSEXの行為に発展して行きます。
気分を高揚させる働きを持つエンドルフィン。恋愛ホルモンと呼ばれるオキシトシン。幸福感をもたらすセロトニンや快楽物質のドーパミン、興奮物質のアドレナリン。キスをするとこれらの物質が分泌されるため、興奮や幸福感を覚えるのです。
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キスの真相に迫る
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唇が刺激されると、その温度と強さは強力なシグナルとなり、脳へ伝達されます。ディープキスであるほど、神経は興奮し、全身に化学反応が起き、心臓の動機が高まり、血液が温かくなり肌が赤く染まります。
キスという行為自体が、快感をもたらし、キスの刺激は性的にもっと直接的な部分への刺激と同じくらいに重要だという人もいるそうです。性的な段階として、人がキスをするのは多くの人が理解していると思います。
しかし、性的なキスではなく「習慣」としてのキスには、複雑な人類学的な謎があります。キスには性的要素がないものも多く、ある種の役割を果たしていると推測されます。
ダーウィンが1872年に著した「ヒトと動物の感情の変化」
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(ヨーローッパ人が)愛情のしるしとしてキスをするのは習慣化しており、それは人間全体にとって自然な行為であるかのように思われる。しかしそうではない。「それは自然に生まれ、最初の求愛とともに始まった」としたスティールの言葉は誤りである。
フエゴ島に住むジェミー・ボタンに聞くと、この行為を知る者は彼の島にはいないという。同じく、ニュージーランド、タヒチ、パプア、オーストラリアの人々や、アフリカのソマリ族、エスキモーにも知られていない。
それでも、愛する者とのふれあいに喜びを感じるのは彼らにも自然なことであり、ニュージーランド人やラップランド人が鼻をこすり合わせるように、世界各地でキス以外の表現が用いられている。腕や胸、腹を互いにすり合わせたり、軽く叩いたりするほか、顔を相手の腕や足に押し付ける所もある。
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この著書によると、キスは学習によって身につけられたものということになります。私たち日本人は、欧米人ほど人前でキスをする行為はオープンではなく、恥じらいがあるのは、キスが挨拶としての習慣ではないからです。
キスの習慣自体は、世界共通のものとは言い難く、唇を合わせるキスに似た行為があるということが分かりますね。
キスを求める定義、男女で違う?
女性はロマンティックなキスを求め、男性はエロティックなキスを求めるのには、さまざまな科学的要因があるようです。
その1. 女性はキスだけでオルガズムに達する?
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アメリカの性化学者、アルフレッド・キンゼー氏は、女性は深く長いキスをすることでオーガズムに達することができると報告しています。
女性の唇の方が男性の唇よりも皮膚が薄く、神経の数も多いため、男性よりも10倍敏感だといわれていることから、この報告も信憑性があるといえるかもしれません。
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その2. キスによる情報交換
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脳科学者の澤口俊之氏いわく、お互いの情報を交換したいと思う相手とだけしか“したい”と思わない純粋な愛情行為こそがキスなのだとか。(※女性)
男性の唾液に含まれるテストステロンという物質から、女性は“どういう男性か”という情報を得ているのだそうです。
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「自分の子孫を残すのに適切な相手かどうかを見極めるための情報収集」というのが、キスを求めたくなる一番有力な説のようです。
キスに関する情報で、大変興味深い記事がありましたので、ご紹介しましょう。
キス10秒で8000万個のバクテリアを交換する?!
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スロバキアのNatália Kamodyová博士の実験によれば、約10秒間のディープキスは約8000万個のバクテリアを交換するという。これによって相手が「生物学的」に適切かどうかを本能的に判断する「下調べ」が可能となる。
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口内に存在するバクテリアを交換し、相手が自分の持っていない免疫のバリアを持っているか、、、健康状態や生理学的相性が合うかどうかが解るのだとか。
免疫学的には、自分と同じ免疫のバリアを持っている相手より、自分にないバリアを持つ相手と生殖する方が、自分のDNAを後世に残せることになると言います。
ようするに、子どもを受胎して出産する女性側が、自分と異なる免疫の相手を発見するために、キスによって良い子孫を残すための値踏みをしている・・・、ということになるのでしょうか。
一方、男性が女性より熱烈なキスをしたがるのはなぜ?
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男性は、濃厚な口づけをすると「男性ホルモン(テストステロン)」をより多く分泌する。テストステロンを多く渡すことで、相手が発情する効果を狙っているという。
テストステロンには、「攻撃的になる」「キレやすくなる」という欠点がある一方で、性欲を高める効果がある。テストステロンは、気分を一気に盛り上がっていく可能性を大いに秘めているのだ。
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男性が本能的にキスを交わしたがるのは、テストステロンを多く分泌し、女性を欲情させて性行為に発展させるための自然的な行為というわけです。
女性が、生物学的に、良いDNAの子孫を残すために、相手を値踏みするためのキスに比べると、男性の方は極めて単純明確ですよね。