少女はもういないけれど、ドレスは今年も・・・
Catherine Malatestaさん 最後のジュニアプロム

出典 https://www.bostonglobe.com
マサチューセッツ州アーリントン市。2015年8月にこの世を去ったCatherine Malatestaさんが生まれ育った街です。
この写真は、2015年6月、ジュニアプロム(高校2年生が参加するダンスパーティー)の前に撮影されたものです。
青いドレスに包まれてはじけるような笑顔が美しくとても印象的です。
プロムはアメリカの女子高生なら誰もが楽しみにしている一大イベントです。美しいドレスをまとい、少し大人になったような気分でダンスを踊り、友人たちと楽しい夜を過ごします。
この笑顔の裏で、実は、Catherineさんは、ステージ4の類上皮肉腫に侵されていました。(*類上皮肉腫については下記参照)
学業優秀、スポーツ万能、たくさんの友達から愛されていて、教会では小さな子供たちの面倒を良く見る優等生のCatherineさん。彼女は将来は弁護士になるという夢を持っていました。
フィールドホッケーの練習に明け暮れていたある日のことです。肩に痛みを感じたため念のためにと、医師の元を訪ねました。プロムのわずか半年前、2014年12月のことです。
フィールドホッケーの選手だったCatherineさん

出典 http://www.today.com
彼女が侵されていた病は類上皮肉腫。一日も休まず登校して表彰されるほど健康だったCatherineさんでしたが、ガンはすでに肺や脊髄まで達していました。
38日間もの間、放射線治療と化学療法を交互に受け、体力を失っていたCatherineさんでしたが、持ち前のポジティブな精神と明るさで、高校の役員にも立候補し、当選。劇場で上演予定の舞台のオーディションにも合格します。
しかし、そんな彼女の強い精神力と前向きな姿勢にも関わらず、ガンは治療のかいもなく、進行していきました。
ある日、病院の救急病棟でCatherineさんは、母親にネットで見たプロムドレスのことを話しました。「Let’s buy it!」(買いましょう!)

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肺に水がたまり、緊急入院したのはプロムが開かれる2週間前のことでした。病院から一時退院の許可がでたのは、プロムの前日の夜7時です。
抗がん剤治療をすると決まったときに自ら髪を剃っていた頭にかつらをつけ、選んだあのドレスを着て5月29日、Catherineさんはプロムに参加しました。彼女をエスコートしたのは幼馴染のPeter Cliffordさんでした。
友人たちとプロムに参加して、楽しいひと時を過ごしたCatherineさんですが、4日後に再入院。その後退院することはなく、8月2日に息を引き取りました。
ほとんどの友人や同級生が最後に見たのは、この青いドレスを着たCatherineさんということになってしまいました。
Catherineさんの死後、母親のJenifferさんは友人たちを自宅に招き、思い出の品を分けたいと申しでました。あのドレスは、まだ部屋のハンガーにかかったままでした。
誰からともなく、ドレスを試着してみよう、という声が出て、みんなで着てみることになりました。
その時その場にいたのは、Catherineさんのキャンプメンバーとアーリントン高校の親友たちでした。
「旅するジーンズと16才の夏」(The Sisterhood of the Traveling Pants)という映画にかけた「The Sisterhood of the Traveling Prom Dress」旅するプロムドレスが生まれたのはこの時です。
Catherineさんのブルーのドレスを、プロムに参加する友人たちが次々に着ることになったというわけです。
左がCatherineさん 右がJillian Danton

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最初にドレスを着たのは、Jillian Dantonさん。一学年下のJillianさんにとって同じチームでホッケーをしていたCatherineさんは、姉のような存在だったと話しています。昨年Catherineさんが参加したジュニアプロムは、一昨日22日に開催されました。
ドレスを着たJillianさんを見た時、「一瞬、Catherineが見えた」とJenifferさんは語っています。
次に着るのはEmma Schambersさんで、ニューハンプシャーの高校のシニアプロム(卒業生のためのプロム)、5月13日に予定されています。5月20日には、Lauren Houricanさんがアーリントン高校のシニアプロムに、Carly Blauさんは6月2日に別の高校のシニアプロムで着用することになっています。
Catherineさんがどれだけプロムを楽しみにしていたか、そしてどれだけプロムに参加できたことを喜んでいたか、それを知っている親友たちは、彼女との絆をこれからも保つために、彼女たち自身の大切なプロムに、あのCatherineさんのドレスを着て行くことに決めたのだと思います。
母親のJenniferさんがこう語っています。
「娘は、友人たちがこんな形で彼女を偲んでくれることを、とても喜んでいると思います。Catherineも彼女たちと一緒にプロムに参加しているのだと思います。」
最後まで戦い続けて天国に旅立った美しいCatheirneさんと、少女たちの友情はこれからもずっと途切れることなく続くに違いありません。

