日曜夜放映中の「ヨルタモリ」内のコーナーで「お疲れ様」や子役の挨拶「おはようございます」について苦言を呈したことが話題になっています。
フジテレビ日曜夜の人気番組「ヨルタモリ」。番組内でタモリ扮する野々村教授が、ある番組をパロディーにした設定で問題を提起するいうコーナーがあります。
7月26日放送では、「テレビ業界に急増する『お疲れさまです』を言う子ども」について解説していきます。子役が仕事で関らない人にも、すれ違う人に「お疲れ様」と挨拶しているという再現ビデオを流して、その背景にあるものを語ります。

出典 http://www.fujitv.co.jp
子どもが「お疲れ様です」という心理は、芸能界に所属しているという帰属意識がいきてくる。組織に所属しているいるという安心感から、創造的なことができなくなる弊害がある。
これは、親が悪い。お疲れ様ですというのは、元来、目上の者が目下の者にいう言葉。親がわかってないから子供がわかってない。
社長に会って、「お疲れ様」は失礼。「どうも」でいいんです。
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VTRが流れたあと、スタジオ(とある湯島のバーの設定)で宮沢りえ、ゲスト(篠山紀信)が、タモリや他のレギュラーと、この話題について話します。
宮沢りえ:目上の人からしか言ってはいけないというのを、たぶん知らない大人が多いでしょうね。
タモリ(建築家の近藤さんに扮している):絶対言っちゃいけないんですよ、目上の人に。
篠山紀信:でもさ、小さい子供がさ、夜スタジオに来てさ「おはようございます」というのは嫌だね。
全員:あ~そうですね。
宮沢りえ:私もそれはあんまり好きじゃなくて、昼間にあったときは「こんにちは」って入っていこうとするんだけど、とっても不自然な空気になりますね。活気が出ないっていうか。
タモリ:あれは、水商売から来ているらしいですね。夜始まるのにおはようございますって。それをこの業界が取り入れたらしい。
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タモリらしい、皮肉を込めた切り口ですね。子役の挨拶については、「お疲れさま」「おはようございます」どちらも子供らしくない”大人”の使う挨拶であり、子供はこどもらしくすれば良いという優しい目線から言っているように取れます。
驚いたことに、企業の中では、すでに「お疲れさま」を禁止するというところもあるという、8月14日号の週刊ポストの記事をみつけました。
「お疲れ様」はいつの間にやら若い世代の中で挨拶のスタンダードになっているが、上から目線の言葉ではないかと違和感を持っている中高年が多く、このタモリの発言に快哉を叫んだ。「お疲れ様です」を巡っては社内で軋轢が生じ「お疲れ様禁止令」が出された広告代理店もあるという。
出典 http://www.news-postseven.com
同じ記事内で、言語学者の金田一秀穂氏がこう分析しています。
「お疲れ様は、いたわりの言葉。力のある者でなければいたわれないので、いわれた側は“上から目線”を感じてしまう。私も学生が授業が終わった後に、『先生、お疲れ様でした』というのには抵抗があります。ただ日本語には、会った時に目上の人に対してきちっと使える、万能の挨拶語がないんです。
だから、『いつもお世話になってます』とか『先日はありがとうございました』とか、場面によって使い分けるしかなかった。『お疲れ様です』が広がったのは、適当な挨拶が他にないというのも大きな要因でしょう」
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「おつかれさまです」は、会社内でも、普段の生活でも、相手をねぎらうためだけでなく、挨拶代わりに頻繁に使われています。「お疲れ様です」を英語で伝えたいときが多々ありますが、適当な英語はありません。日本独特の言い回しであるといえます。50代以上の人たちの間では、目上の人には言ってはいけないという古い観念がありますが、若い世代では、普通の挨拶変わりに使われている感があります。
似たような意味の言葉で「ご苦労様」があります。こちらは、目上の人に使う人はあまりいないと思いますが、いったいどういうシチュエーションでこの似通ったふたつを正しく使えば良いのでしょう。調べてみました。
ビジネスマナー的には部下は「お疲れ様です」が正しい
ビジネスシーンでのマナーの一つの基準となりうる「秘書検定」ではどういう使い分けをしているのでしょうか?秘書検定では、目下から目上に対しては「お疲れ様です」、目上から目下に対しては「ご苦労様です」を使うのが正しいと明記されています。一般的なビジネスマナーとしても、目上の人に「ご苦労様です」というのはマナー違反となるようです。
つまり、上司には「ご苦労様です」というのは控えたほうがよいということになりますね。
ここでは、「お疲れ様です」と「ご苦労様です」の違いについて紹介しました。ビジネスマナーとしては、「お疲れ様です」は目上の人に対して、「ご苦労様です」は部下に対して使うという違いがあるので、気をつけたいところですね。
出典 http://u-note.me
秘書検定では、「お疲れ様です」は、ビジネスシーンで目下から目上に対して言ってOKということのようですね。
平成17年度に文化庁が行った国語に関する調査で、「仕事が終わったときに,どのような言葉を掛けるか」という設問がありました。
平成17年度「国語に関する世論調査」の結果について
1)一緒に働いた人が,自分より職階が上の人の場合
「お疲れ様(でした)」が約7割で,「御苦労様(でした)」,「ありがとう(ございました)は,共に1割台にとどまっている。
「お疲れ様(でした)」69.2%
「御苦労様(でした)」15.1%
「ありがとう(ございました)」11.0%
「どうも」0.9%
何も言わない0.6%
出典 http://www.bunka.go.jp
目上の人に「お疲れ様(でした)」を言う人は約7割。
2)一緒に働いた人が,自分より職階が下の人の場合
「お疲れ様(でした)」が5割強で,「御苦労様(でした)」は3割台半ばとなっている。(1)で尋ねた自分より職階が上の人の場合と比べると,「お疲れ様(でした)」の割合が16ポイント,「ありがとう(ございました)」の割合が6ポイント低くなり,「御苦労様(でした)」の割合が21ポイント高くなっている。
「お疲れ様(でした)」53.4%
「御苦労様(でした)」36.1%
「ありがとう(ございました)」5.0%
「どうも」2.8%
何も言わない0.5%
出典 http://www.bunka.go.jp
上司からの場合は「ご苦労様」の割合が増えています。
上司のほうからは、「お疲れ様」は約半数。「ご苦労様」が3割強ということで、意味をわかって使っている人が多そうです。
「お疲れ様」の広がりには、時代的背景もある。いまやビジネスも友人関係も「広く薄いつながり」が当たり前になり、上下関係も曖昧になる一方。そんななか、「お疲れ様です」は、どんな相手にも気配りを示そうとする、若者世代にとっての「新しいマナー」ともいえる。
出典 http://www.news-postseven.com
現代社会では、昔の使い方と意味が違う使われ方をしている言葉や言い回しがたくさんあります。
人との関係が希薄になっている今、挨拶さえしない人が増えているので、週刊ポストの記事にあるように、「お疲れ様です」に込められた相手を気遣う気持ちが少しでもあるとしたら、それはそれで良いのかなと思います。敬語って、本当に難しいですね。
