Naitter【泣いた】

CCS(二酸化炭素の地下貯留)で地震は起きる?──誘発地震のメカニズム、鳩山発言、苫小牧の検証、論文・動画まとめ

CCS(二酸化炭素の地下貯留)で地震は起きる?──誘発地震のメカニズム、鳩山発言、苫小牧の検証、論文・動画まとめ


CCS(二酸化炭素の地中貯留)と地震の関係は?
苫小牧CCS×胆振東部地震をめぐる「論点」と「一次資料」

本記事は、CCSと地震(誘発地震)に関する論点を、公的・学術・事業者の一次資料を軸に整理します。
個別案件(苫小牧)については、JCCSの検討報告PDFFAQを入口に、学術レビュー(IEAGHG)と主要論文(PNAS)を接続して読み解きます。

最初に(重要)
①「CCSが地震を起こした」と断定するのは、現時点の一次資料だけでは成立しにくく、因果の立証には地震学・地質・圧入履歴・応力状態・断層幾何の総合検証が必要です。
②一方で、流体注入が微小地震を誘発し得ること自体は、地熱・廃水圧入等で広く知られる現象であり、CCSでもリスク管理(モニタリング/圧力管理/Traffic Light System等)が論点になります。
③「裏情報」「利権」といったテーマは、推測や断定が拡散しやすい領域です。この記事では公式資料で検証可能な“構造(予算・制度・委託・会議体)”を中心に整理し、判断材料を提示します。

まず押さえる一次資料(クリックで開きます)

苫小牧CCSと胆振東部地震:検討報告(PDF)

苫小牧CCSと周辺地震の関係を議論するなら、最初の入口はここです:

苫小牧CCSと胆振東部地震の検討報告(PDF)|JCCS

JCCS FAQ(胆振東部地震とCCS)

「地震が起きた場合のCO2は?」「圧入と地震の関係は?」等の想定問答の入口:

JCCS FAQ(地震・胆振東部地震とCCSの論点を含む)

報道:鳩山元首相の投稿が「流言飛語」文脈で扱われた件

2019年2月の地震後、SNS上の情報が「流言飛語」扱いで整理された文脈:

J-CAST:鳩山氏ツイートも「流言飛語」認定とされた件(2019/2/22)


毎日新聞:道警が注意喚起したデマ文脈(2019/2/22)

経産省:CCS長期ロードマップ検討会(資料)

政策側のロードマップ(会議体資料の一次リンク):

CCS長期ロードマップ検討会 最終とりまとめ(説明資料PDF)


CCS支援措置の検討(カーボンマネジメント小委員会資料例)

JOGMEC:先進的CCS支援事業

実装を進めるための支援枠(制度・公募・採択):

先進的CCS支援事業の概要(JOGMEC)


経産省:先進的CCS事業(支援の公表・概要)

主要論文(PNAS)と、誘発地震リスク総括(IEAGHG)

学術論点の“主戦場”になったPNAS往復と、IEAGHGのリスク総括:

PNAS 2012:Zoback & Gorelick


PNAS 2015:Vilarrasa & Carrera(反論)


IEAGHG 2013:誘発地震とCO2貯留リスク(PDF)


IEAGHG 2022:CO2貯留プロジェクトの誘発地震リスク総括(PDF)

論点の軸:①因果 ②リスク管理 ③情報流通 ④政策・資金
読む順:JCCS(個別)→IEAGHG(総括)→PNAS(論争)→政策(経産省/JOGMEC)

図で理解:CCSと地下貯留(参考画像)

CCSの概念図(回収→輸送→貯留)
CCS概念図(回収→輸送→貯留の流れ)。出典:Wikimedia Commons
画像の元ページ
CO2地質貯留のトラップ機構
CO2地質貯留のトラップ機構(構造・残留・溶解・鉱物固定など)。出典:Wikimedia Commons
画像の元ページ

苫小牧CCSと胆振東部地震:結局「関連」はどう扱うべきか

苫小牧の個別論点は、JCCSの検討報告を一次資料として読み、
“地震の発生場所・深さ・時系列”と“圧入の運転履歴(圧力・注入量・停止/再開)”の整合で評価するのが基本です。
入口:検討報告(PDF)
FAQ

読み方のコツ
・「地震=CCSのせい」と短絡しない(自然地震が頻発する地域特性、観測限界、偶然の同時性がある)
・同時に「誘発地震はあり得ない」とも短絡しない(注入による間隙水圧変化が断層のすべり条件を変える可能性は一般論として存在)
・重要なのは“圧力変化が断層に届くメカニズム”“観測でその兆候が説明できるか”です(IEAGHG総括が枠組みを提供します)

(参考)誘発地震リスクの総括:IEAGHGが示すフレーム

  • IEAGHG 2013(PDF)
    :誘発地震のメカニズム、リスク評価、監視・緩和の基本構造
  • IEAGHG 2022(PDF)
    :観測例の整理、管理策(Traffic Light System等)、コミュニケーションの重要性

鳩山元首相の発言(投稿)の整理:何が起きたか

2019年2月の地震後、鳩山由紀夫氏の投稿は、SNS上の「流言飛語」整理の文脈で報道されました。
一次・準一次情報の確認先としては、報道(J-CAST/毎日)と、当該投稿(X)が参照点になります。

注意(情報の扱い)
影響力の大きいアカウント発信は、因果が確定しない段階で断定表現になると、地域の不安と対立を増幅させます。
反面、行政・事業者側も「安全」を言うだけでなく、どの観測データで、どの仮説を排除できたのかを、継続的に開示することが信頼の前提になります。

過去論文(主要ポイント):PNAS 2012→反論(2015)

CCSと誘発地震の議論で、最も引用される争点の一つがPNAS上の往復です。
結論が真逆に見えるため、“前提条件(どの地質・どの注入規模・どの圧力管理)”を分解して読む必要があります。

PNAS 2012(Zoback & Gorelick)


Earthquake triggering and large-scale geologic storage of carbon dioxide

  • 大規模注入は、応力状態によっては断層すべり(地震)を誘発し得る、という問題提起。
  • リスクは地質条件や運用条件に強く依存し、地点選定と圧力管理の難しさを指摘。
  • “貯留戦略としての成功可能性”まで踏み込む主張が、論争の中心に。

PNAS 2015(Vilarrasa & Carrera)


Geologic carbon storage is unlikely to trigger large earthquakes…

  • 適切な地質(堆積層)・設計・圧力管理の下では、大地震誘発は起こりにくい、という反論。
  • “どの深度・どの層に圧力が伝播するか”を含め、モデル前提の重要性を強調。
  • 単発の結論ではなく“条件付き”で理解するのが実務的。

参考:PNAS上では関連コメント・リプライも公開されています。例:
Juanesら(2012)
Vilarrasaらリプライ(2015)
Zoback & Gorelick(2015)

IEAGHG総括:誘発地震リスクは「ゼロか/100か」ではなく管理問題

IEAGHG 2013 / 2022(PDF)

実務上の要点は、(1) 事前の断層・応力評価、(2) 注入圧・注入量・変動の管理、(3) 微小地震を含む監視、
(4) 住民・行政への説明責任(“なぜそれはCCS由来ではないと言えるのか”)の4点に集約されがちです。

過去地震のまとめ(論点に直結するもの)

1)苫小牧CCS文脈で“話題化”した地震

  • 2018年 北海道胆振東部地震(苫小牧CCSとの関連がSNS等で言及されがち)
    → 個別検証の入口:JCCS検討報告(PDF)
  • 2019年2月21日 震度6弱の地震(SNS流言飛語整理で鳩山氏投稿が報道)
    → 報道:J-CAST
    毎日

2)誘発地震の“代表例”(CCS以外も含む:メカニズム理解のため)

注:上記は「CCSが同じことを起こす」という意味ではなく、流体注入が地震活動と関係し得る条件を理解するための参照です。

YouTube動画まとめ(埋め込み+リンク)

苫小牧CCS(公式/解説系の入口)

見られない場合はリンク:
YouTubeで開く

誘発地震のモニタリング例(Decatur CO2貯留:USGS)

参考:USGSの関連ページ(資料・PDFリンクあり)

Induced Seismicity Associated with Carbon Dioxide Geologic Storage(USGS)

IEAGHG:誘発地震リスク(イベントページ)


Risk of Induced Seismicity at CO2 Storage Projects(IEAGHG)

経産省の「利権」論点は何が検証可能か(裏情報の扱い方)

「利権」という言葉は便利ですが、断定のまま流通すると検証不能な対立を生みやすいです。
ここでは、公表資料で追える“検証可能な構造”に分解します。

“裏情報”を実務に落とすチェックリスト
・会議体資料:参加委員、論点、引用データ、反対意見(少数意見)の扱い
・委託/公募:仕様書、評価基準、採択先、再委託の有無、成果物の公開範囲
・規制設計:許認可、責任分界(事故・漏えい・地震時対応)、賠償スキーム
・広報:想定質問(FAQ)と、観測データの公開粒度(生データ/要約/第三者レビュー)

参考リンク(クリックで開きます)