Naitter【泣いた】

イチローが守り続けた「感情についてのルール」が凄い

イチローが守り続けた「感情についてのルール」が凄い

イチローが守り続けた「感情についてのルール」が凄い


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2016年8月7日。マイアミ・マーリンズのイチロー選手がついに、メジャー史上30人目となる通算3000本安打を達成しました。

16年目の達成は、メジャー最多の通算4256安打を記録したピート・ローズ氏と並ぶ最速タイで、野球殿堂入りは確実と言われています。

出典 http://mlb.mlb.com

この偉業を達成した直後には、プレー中には喜怒哀楽を見せないイチロー選手がサングラス越しに涙を流し、さりげなく拭う姿がテレビに映し出され、「涙が偉大な記録を証明」「もらい泣きした」「美しい」などと話題となりました。

そんなイチロー選手の「感情のコントロール」について、振り返ってみたいと思います。

■1995年の日本シリーズでは悔し涙も

出典 https://www.amazon.co.jp

1992年から2000年まで所属したオリックス・ブルーウェーブ。仰木彬監督に見出されて1994年にレギュラーの座についたイチロー選手は、前人未踏の210安打を達成し、日本プロ野球史上最年少でシーズンMVPを獲得。その活躍に導かれるようにチームは1995年と1996年にパ・リーグを制覇、1996年には日本一に輝きました。

「ぼくはうれしい時とか、悲しい時には涙を見せません。その代わり、悔しい時には人一倍涙を見せます」と言ったのは、オリックス時代に日本一になった平成8(1996)年である。「悔しい時」とは前年、ヤクルトに敗れた日本シリーズを指す。以降、感情を表に出すのを見たことがない。

出典 http://www.sankei.com

1995年あたりは悔し涙を見せることも、自身の活躍に浮つくことも、時には批判に落ち込むこともありましたが、その時期以降、イチロー選手は感情を表に出さなくなりました。

「チームに乗せてもらうことはありますが、そういうときは少ないのです。チームの流れとは別のところで、自分をコントロールしてきたつもりです」

出典「イチロー 262のメッセージ」より抜粋

感情をコントロールして、チームの状態が良くても悪くても自身のモチベーションには関係なし。一体どのようにすればその境地まで辿り着くことが出来るのでしょうか。

■感情をコントロールするということ

出典 https://twitter.com

アメリカの心理学者の権威、マーティン・セリグマン氏から「チャンピオンは楽観主義者である」という分析データが発表されています。

これは『物事を良い方にだけ考える意味の楽観ではなく、現実をそのまま受け取ること』を定義とし、世界の第一線で活躍するスポーツ選手などの多くが楽観主義者なのだそう。そしてイチロー選手も、あるインタビューでこう答えています。

「精神的なレベルが高い選手は、ガッツポーズをしたり、叫んだり、悔しがったりして感情を表に出したりしないものです」

出典「イチロー式 突破力」より抜粋

普通、良い時には浮かれるし、悪い時には落ち込むもの。このイチロー選手の考えはまさに楽観主義者に当てはまる訳ですが、こう考えるには当然、理由があります。

「空振りだとか三振だとかに一喜一憂はしないということが大事です。そこで、打てない、もう駄目だと思ってしまったら、次の打席には立てないですよ。三振しても、打ち取られても、そのピッチャーを打つための『なにか』を得られればいいわけで、ぼくは打席ごとに勝った負けたと騒がないようにこころがけています

出典「イチロー式 突破力」より抜粋

結果に一喜一憂するよりも現実を見て次に繋がる「なにか」を得る方が重要。イチロー選手は物事を冷静に受け止める理解力と分析力を合わせ持った『究極の楽観主義者』とも言えるのではないでしょうか。

もちろんこれだけではありません。心を落ち着かせたり気持ちをリセットするために、心理テクニックの「アイ・コントロール」も実践。

僕は球場ごとにいくつかのポイントを決めて、それを見ることで精神的なコントロールをしているんです。いつも普通の精神状態でいられるように、準備をしているということかな」

出典「イチロー・インタヴューズ」より抜粋

この他にも、試合後にその過程と原因を振り返って自分の言葉で処理することを自らに課していたりと、「自分の感情」と真正面から向き合いながら沢山の努力を積み重ねて、感情をコントロールできる境地まで辿り着いた様子が伺えます。

■ところが2006年のWBCでは感情をむき出しに

1995年以降はどんな場面でも感情を出さずに感情をコントロールしてきたイチロー選手。ところが、2006年に開催された第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では対戦国から反発が起きるほど感情を表現し、勝利への執着を見せてくれました。その姿に驚いた方も多いのではないでしょうか。

「WBCでのあたらしい挑戦はチームの中心になることでした」

出典「未来をかえる イチロー 262のNextメッセージ」より抜粋

開幕前の会見では「向こう30年は日本には手が出せないという勝ちかたをしたい」と、これまでのイチロー選手からは想像できない挑発的な言葉で日本代表チームの士気を高め、対戦国を発奮させました。

劇的な試合展開

WBCの試合展開は劇的でした。2度続けて韓国に敗れ、3度目の韓国の対戦でようやく完封勝ち。キューバとの決勝戦では1点差にまで追いつかれつつも最終回に突き放し、見事優勝を果たしました。

この勝利は本当に感動的でしたが、これまでとは違い、態度と言葉で熱く一喜一憂しながらプレーするイチロー選手の姿は印象的で、10年という歳月が流れた今でも忘れることが出来ません。のちに、その時のことをこう語っています。

変わったわけではありません。表現するようになったのです。WBCのぼくと、今までのぼくとでは比較がむずかしいですけど、以前から自分のなかにあったものが、表に現れただけの話なんです」

「ほんとうの自分の内面を出してもいい、と思えたのは、それだけの自信をつかんだからではないでしょうか」

出典「未来をかえる イチロー 262のNextメッセージ」より抜粋

自信をつかんだからこそ本当の自分を出せる。イチロー選手が感情を出したことで選手や観客の温度を上げ、チームの中心としての役割も全うし、見事勝利へと導きました。

■メジャー通算3000本安打達成

出典 YouTube

8月7日(日本時間8日)の敵地ロッキーズ戦。ついに、メジャー史上30人目となる通算3000安打を達成しました。

16年目の達成は最速タイで、単純に計算して年間188本のヒットを16年間も打ち続けたことになるわけですが、メジャーでたった30人しか成し遂げていない大記録。

偉業達成直後のベンチでは男泣きするイチロー選手の姿が…

出典 https://www.instagram.com

サングラス越しに涙を流し、時に笑いながらさりげなく涙を拭う様子には、感動した方も多いのではないでしょうか。

記者会見で今の気持ちを率直に語ったイチロー選手

出典 http://mlbjapan.tumblr.com

記者会見では穏やかに、時に感極まり涙を浮かべながら、今の気持ちを率直に語ってくれました。

「この2週間強、ずいぶん、犬みたいに年取ったんじゃないかと思うが、達成した瞬間にあんなにチームメート達が喜んでくれて、ファンの人達が喜んでくれた。僕にとって3000という数字よりも、僕が何かをすることで僕以外の人たちが喜んくれることが、今の僕にとって何より大事なことだということを再認識した瞬間だった

出典 https://youtu.be

2998安打になってから9日間も張り詰めた状況が続きましたが、その様子を「犬みたいに年取った」と独特の言い回しで表現。ベンチでの男泣きは、チームメイトやファンの姿を見て感極まってのものだったのかもしれませんね。

Q:16年間という期間で沢山の変化があった中、これだけは変えなかったという軸となるものはなんだったのか?

感情を殺すこと。このことはずっと続けてきたつもりです。今日の達成の瞬間もすごく嬉しかったが、ヒットをがむしゃらに打とうとする事がいけないのではないかと混乱した時期もあった。それを思うと、いい結果を出そうとする事を周りが当たり前のように受け入れてくれていた事が特別に感じた」

出典 https://youtu.be

周りからすると感情を出さないイチロー選手が当たり前で、記録達成のためにがむしゃらになる姿の方が違和感。これはいかにこの16年間、冷静沈着にプレーしてきたのかがとてもよく分かるエピソードですね。

Q:2週間以上も苦しく張り詰めた状況が続いていたが?

「それなりに僕も切ったら赤い血が流れますから。緑の血が流れてる人間ではないですから。感情ももちろんあるし、しんどいですよ」

「人に会いたくない時間もたくさんあった。誰にも会いたくない、しゃべりたくない。
僕はこれまで自分の感情をなるべく殺してプレーをしてきたつもりだが、なかなかそれもうまく行かない苦しい時間だった

出典 https://youtu.be

「緑の血」には失礼ながら少し笑ってしまいましたが、16年間も貫いてきた感情のコントロールが出来ないほどの重圧。

Q:感謝を誰に伝えたいですか?

出典 http://www.amazon.co.jp

『感謝を誰に伝えたいか?』との問いかけに対し、「これだけの長い時間色んな場所から集まってくれて今さら言うまでもないが…」と前置きした上で、

3000を打ってから思い出したことは、このきっかけを作ってくれた仰木監督ですね。神戸で2000年の秋に、お酒の力を使って僕が口説いたんですけど、その仰木さんの決断がなければ何も始まらなかったことなので、そのことは頭に浮かびました」

出典 https://youtu.be

やはり思い浮かべたのは、偉業達成や節目ごとに名前が挙がる、オリックス時代の恩師で故人の仰木監督。感動します。

Q:一般の人間には達成感が今後の目標に向けての邪魔になる。3000本の達成感をどうやって消化して次の目標に進んでいくのか?

「達成感を感じてしまうと前に進めないのかが僕にはそもそも疑問ですが、達成感とか満足感は、味わえば味わうほど前に進めると思っているので、小さなことでも満足することはすごく大事だと思う。僕は今日のこの瞬間とても満足ですし、味わうとまた次へのやる気、モチベーションが生まれてくるとこれまでの経験上信じているので、これからもそうでありたい」

出典 https://youtu.be

確かに達成感を感じると切り替えに時間が掛かるものかもしれません。しかしそこはイチロー選手。満足を味わうと次へのやる気が生まれるとはさすがのコメント。

Q:3000安打は通過点。これから何を大事にしながら野球を続けていくのか?

「この先は子供の時のようにとは、そこまではもちろん行くことは出来ない、プロである以上。でももう少し、感情を無にしてきたところをなるべく、嬉しかったらそれなりの感情、悔しかったら悔しい感情を少しだけ見せられるようになったらいいなと思う

出典 https://youtu.be

WBC後に語った「本当の自分の内面を出してもいいと思えたのはそれだけの自信をつかんだから」という言葉を思い出します。

出典 https://twitter.com

イチロー選手の「感情のコントロール」について振り返りましたが、記者会見で語ったように、今後はプレー中に一喜一憂する姿が少しずつ見られるのかもしれませんね。

ちなみに、イチロー選手はこの16年間で1度しか故障者リストに入ったことがありません。しかもその理由はケガではなく胃潰瘍。そんな強靭な肉体と卓越した技術、感情をコントロールする強い精神力で野球の道を突き進むイチロー選手に、今後も注目です。

そして、8月13日の午後0時からはNHK BS1で「イチロー 3000本の軌跡」が放送されます。ロングインタビューなど見ごたえ十分のドキュメンタリーという事ですので、こちらにも注目です!


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