眠らない街と言われる東京に憧れ、上京してくる人は少なくありません。
私も、例に漏れず東京に憧れて上京してきた人間の一人。今年の春に東京に来たわけですが、故郷と環境が違いすぎるために日々戸惑っています。正直おしゃれなお店も、同僚が勧めてくるお店も、なかなか一人では行くことができません…。
「このままではいけない」と感じた私は、とりあえず賑やかな街に慣れようと思い新宿の歌舞伎町という場所に初めて行ってみたのです。キャバクラ、ホストクラブ、無料案内所…目に映るものは、少しの恐怖とワクワクを与えてくれました。
さらに歩みを進めてみると、なんとも不思議なお店を見つけたのです。
「ロボット♪ロボット♪レストラン♪総工費100億円♪」

出典Spotlight編集部
思わずリピートしてしまう中毒性のある歌が流れ、お店の入口には巨大なロボットが2体設置されているではありませんか!このロボットは実際に乗ることもできる記念撮影用のもので、私が訪れたこの日も外国人観光客の方が記念撮影をしていました。
この歌によると総工費は100億円もかかっているらしく、都会の金銭感覚に恐怖を感じずにはいられません。私の故郷では2000万円で豪邸が建つのに…!都会怖い…怖いよぉ!
しかし、レストランとロボットの関係性がイマイチわかりません。もしやロボットが配膳してくれるのかな?と思い、とりあえず近づいてみることに。
ショー…だと?

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ロボットに掲示されていた看板を見ると、どうやらショーを観覧するスタイルのレストランのようです。お値段は一人8000円。ショーの様子の写真を見る限り、ロボットを使った大掛かりな演出がされているようで、ますます気になってきました。
ふと隣を見ると、求人の看板が!

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正社員とアルバイトを募集していました。どんな面接をされるんだろう?
とにかくお店のことも求人情報も気になるということで、都会の生活に不慣れなおのぼりさんである私(以下:ノボリ)が、ロボットレストランの社長である大澤奈美恵さんにお話を伺ってきました。
「ようこそロボットレストランへ!」

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ーーこの部屋はショーが始まるまでの待合室。天井、壁面、床、全てLEDだらけ…椅子の柄もとにかくゴージャス。総工費100億円の内、どれくらいの金額が使われているんだろう?
自身もショーに出演しているという大澤さんもスタイル良すぎるし、異空間に迷い込んだのかと錯覚するノボリ…。
しかし、ここで怯んではいけない。ちゃんと謎についてお聞きせねば!
ノボリ:そもそもロボットレストランは、どんなお店なんですか?
大澤:ロボットを使ったショーをお見せするショーパブなんです。
ノボリ:ショーパブ…!えぇと、大澤さんはロボットレストランを開業するまでは、どんなお仕事をされていたんですか?
大澤:アパレルの販売をしていました。経営に関わることも未経験だったんです。
ノボリ:経営未経験でいきなり社長とはすごいですね。なんで開業しようと思ったんですか?
大澤:周りにダンサーの知り合いがたくさんいたんです。彼女たちはダンスで生計を立てていきたいという思いがあるものの、現実的には難しいという問題を抱えていたので、私が彼女たちと一緒に仕事をしようと考えたのがきっかけです。
ーーなんていい人なんだ…。
ショーにロボットを取り入れた理由とは

出典ロボットレストラン
ノボリ:ロボットをメインにするというのは、なかなか思いつかないアイデアだと思うんですが、お店のテーマとして選んだ理由はなんだったんでしょうか?
大澤:歌舞伎町でロボットレストランを開業すると決まった時に、ショーパブのお店が続々閉店していた時期でもあったんです。その様子を見た時に、ただ女の子が踊るだけではお客さんは満足しないんだろうなと感じました。
当初お店がターゲットとして想定していたのは日本のビジネスマンだったので、その人たちが子どもの頃に憧れていたものは何だろう?と考えた時に、ロボットや戦車、飛行機(戦車と飛行機は現在ショーでは使っていない)が思い浮かんだんです。それらにセクシーな女の子を融合させたら面白いんじゃないかなと思って。
ロボットも実際に乗ることが出来るものを用意することで、子どもの頃の憧れが実現するような演出をしているんです。
ノボリ:ロボットの種類も色々あるんですか?
大澤:ええ。乗れるものもありますし、ただ動くだけのものもあります。壊れてしまうこともあるので、種類はたくさん用意しているんです。
ノボリ:壊れたら修理費もかなり高額になりそうですね…。
大澤:そうですね…でも社内の人がみんな直してくれるんです。
ノボリ:社内でメンテナンスが出来るのはすごいですね!ちなみにロボット一体あたりの金額は、どのくらいなんでしょうか?
大澤:モノによりますけど、数百万円から数千万円です。
ーー豪邸一軒とロボット一台…東京の価格設定がわからない…。なんだかお腹が痛くなってきたし、とりあえずお手洗いを借りよう。
ノボリ:すみません、ちょっとお手洗い借りてもいいですか?
大澤:どうぞ。
なんじゃこりゃぁぁぁ!

出典ロボットレストラン
ーーべ、便器が…金色…。壁も…。
困惑しつつも用を足し、インタビューに戻るノボリ。さっきから内装の派手さが気になっていたけど、これは聞くしかない!
内装について恐る恐る聞いてみた

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ノボリ:この待合室に限らず、お手洗いやエレベーターもとにかく豪華ですが…。
大澤:そうですね。バブルの時代を彷彿とさせるような店内がいいなと思って、派手にしているんです。このお店が始まった2012年頃は日本が元気のない状態だったので、景気が良かった頃の日本を思い出してもらったり、普段の生活では味わえないような空間をお客様に楽しんでもらえればいいなと思っていました。
ノボリ:計画から実際に開店するまで、大体どのくらい時間がかかりましたか?
大澤:大体1年半くらいでしょうか。私がダンスの練習を始めたのもその頃からです。(大澤さんはダンス未経験者)
ノボリ:かなり短い期間だったんですね。
開店後の苦悩と見出した活路

出典ロボットレストラン
ノボリ:開店準備の時に思い描いていたものと、実際に開店してからのお店は全然違いましたか?
大澤:全然違います!最初は本当に大変でした。
ノボリ:そうだったんですか…。そんな状況から成功した転機はなんだったんでしょうか?
大澤:テレビでも取り上げてもらったし、トラックでのプロモーションもしていたので、お客さんは来てくださっていましたけど予想よりは少なかったんです。
ショーパブなので接客をするわけでもないし、最初は日本人のお客さんがほとんどだったので「指名できないの?」って言われたりとか(笑)。リピートするようなお店ではないので、どうしようかと悩んでいた時に少しずつ外国人の方が来るようになって「素晴らしい」と言ってもらえるようになったんです。
外国人の方がリピーターになってくれて、「友達を連れてきたよ」と声をかけてくれるようになったことで、これは日本人のお客さんよりも外国人のお客さんの方がウケるのかもしれないと思って、海外への宣伝をするようになりました。
これが転機だったと思います。
ノボリ:さっきお店の前に置いてあるロボットに乗って、記念撮影をしている外国人の方を見かけました。お店の歌も歌ってました。
大澤:皆さんよく歌っていらっしゃいますよ(笑)。
ーー外国人のお客さんが歌うのは、日常茶飯事なのか。そういえば、ショーはどんな感じなんだろう?練習とか大変そうだし聞いてみよう。
煌びやかなショーの裏側

出典Spotlight編集部
ノボリ:きれいなダンサーさんがたくさんいらっしゃいますが、どんな基準で選んでるんですか?
大澤:衣装の露出も多いので、やはりスタイルについてはある程度の基準があります。あとは、面接時に踊ってもらうのでその時に顔が暗い人は選びません。ダンスの技術より人を楽しませようとする姿勢を重視しています。
ーーやっぱりスタイルは大事なのね…。
ノボリ:衣装もセクシーで可愛いものが多いですね。
大澤:前は現在よりもセクシーだったんですよ。どんどん隠しています(笑)。今はファミリーやカップルもいらっしゃるので、柔軟に対応しているんです。
ノボリ:衣装のデザインも大澤さんが担当しているんですか?
大澤:衣装を作ってくれるチームがあるので、サンプルを出してもらいながら意見を言っています。
ノボリ:裏方の部分にも関わっているんですね。
大澤:そうですね。でも、ショーは去年の11月以降出演していないんです。前は私がプレイヤーとして出ることで、ダンサーのみんなの士気を上げていました。口だけ出していては説得力ないなと思っていたので。
ノボリ:ショーに出ていた時に一番大変だったことはなんですか?
大澤:高さのある乗り物に乗りながら、躍動感も出さなきゃいけなかったことですね…。写真も見て下さい。
これは…!

出典ロボットレストラン
ーーラスボス小林幸子さんに勝るとも劣らないロボットじゃないか…!
ノボリ:これはかなり高さもあるし、怖そうですね…。
大澤:すごく怖いんです、実際は。ぶら下がるものもありましたし、ポールダンスをすることもありました。落ちたら事故になってしまうので…。慣れるまでは本当に大変でした。
ノボリ:大澤さんはダンス未経験だったそうですが、かなり練習や努力をしたんじゃないでしょうか。
大澤:そうですね。朝8時から夜の11時まで、太鼓とダンスの練習をひたすらやってました。熱中できることだったから、大変ではありましたけど倒れはしませんでした。親に感謝です(笑)。
ーーなんだか楽しそう!でも、まだちょっと行くのが怖いな…。外国人のお客さんは、どんな感じでショーを見ているんだろう?
来ているお客さんのエピソードを聞いてみた

出典Spotlight編集部
ノボリ:今までに出会ったお客さんとのエピソードで印象深いものはありますか?
大澤:貸切で中国人のお客さんがいらっしゃった時、拍手が一回もなかったことがありました。あれは辛かったですね…。1時間半のショーでしたが、我々のスタンスを変えるわけにもいかないし。怒っているのかと思って聞いてみたら、怒っているわけではなくお国柄だよ、と(笑)。
ノボリ:ほかの国の方だと、リアクションもあって盛り上がりそうなイメージがありますが。
大澤:そうですね。すごく盛り上がります。私もお忍びでショーを見に行くことがあるんですが、「一人で来てるの?」と声をかけられることがありますね。すごくフレンドリーです。
ーーもしかしたら一人で見に行っても大丈夫かも知れない!とりあえず英語は勉強しておこう。
「是非一回見てください!」

出典Spotlight編集部
最初は派手な雰囲気と、総工費にビビっていたノボリも大澤さんの話を聞くうちに「案外東京は怖くないかもしれない」という勇気を少しだけ持てました。
せっかく色んな刺激を受けられる環境なのに、ビビって外に出ないのはなんだかもったいない気がしたのです。
ノボリ:最後にまだロボットレストランに来たことがない人に、メッセージをいただけますか?
大澤:とにかく一度見て欲しいです。日本人の方が好きな暑苦しい感じもあるし、アイドルっぽさもあります。実際に特定のダンサーが好きでいらっしゃるお客さんもいるんですよ。
ショーはカメラ撮影OKなので、カメラ好きの人がいらっしゃっても楽しめると思います。
ノボリ:次はショーも見に来ます!
大澤:お待ちしてます。
「総工費100億円でも、大丈夫」某物置メーカーのキャッチコピーをパロディしながら、意気揚々と帰ったノボリですが重要なことを聞き忘れていたのです。
それは、ロボットレストランで提供される食事のメニュー。ビビリを若干克服したノボリですが、夜の歌舞伎町へ行く勇気はまだありませんでした。
そのため、広報の方にメニューを送っていただくことに…。
お食事メニューはこちら

出典ロボットレストラン
お肉と魚、好きな方を選ぶことができます。美味しいご飯を食べながら、ショーを楽しむなんて粋だなぁ。
まだ夜遅い時間に一人で出歩くのは少し怖いけど、ロボットレストランに行けばきっと色んな刺激を受けられるはず!