Naitter【泣いた】

倒れたのは患者ではなく医師たち?

倒れたのは患者ではなく医師たち?

倒れたのは患者ではなく医師たち?


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人民日報社が発行している「人民日報(電子版)」が掲載したある1枚の写真が話題になりました。

スクラブスーツ(オペの際に着る手術着)を着用したまま、オペ室の床に倒れこんでいるのは執刀医のようですが、彼らにいったい何があったのでしょうか?

6月21日、脳腫瘍を患う患者の手術が行われました

中国の福建医科大学附属協和病院で行われた、脳腫瘍を患うある患者の手術。オペのスタートは、21日午前9時から翌22日午後5時にかけて。トータル32時間にも及ぶ大手術でした。

オペは時間がかかるもの、というのはごく普通のことであるように思われるかもしれません。しかし、ご自身に置き換えて想像してみてください。

わずかな油断やミスが致命的な問題に直結する、そんな緊張感のなかで32時間ぶっ通しで働き続ける自分の姿を…。

患者は頭部に動脈瘤、複数の脳腫瘍がある極めて難しいケース

使用機器は8台、パッドは330枚を費やされ、オペに参加した執刀医3人と6人の麻酔科医に巡回の看護師も含め、10名を超えるスタッフたちによって行われた大手術。

途切れることのない緊張感と、心身ともに削られるような32時間は、このまま永久に続くのでは…と思えるほどに長く感じられたことでしょう。

そして手術を終えたあと、極限まで疲弊しきった執刀医の3人は、まるで昏倒するように手術台の側に倒れ込んだのです。

ちなみにこの手術は、同病院の最長手術時間(※1)を記録したそうです。

とても難しいイメージのある頭部の手術。オペにはどれくらい時間がかかるもの?

頭部(脳)の手術時間は疾患や手術手技によって異なりますが、最も短いものであれば局所麻酔(患者さんの意識はあり、切開する部分にのみ痛み止めの麻酔薬を注射する)を用いた手術になり約30分で終了します。

ちなみに、脳手術でよく知られている「くも膜下出血」で発症した破裂脳動脈瘤に対するネッククリッピング術では、2~6時間と症例や難易度によっても幅がありますが平均4時間だそう。あくまで目安の数字となります。

最も長いものであれば、大きな頭蓋底腫瘍に対する特殊頭蓋底アプローチ(広範囲頭蓋底腫瘍切除)で行う手術があり、20時間近くに及ぶこともあります。

出典 http://www.shinyuri-hospital.com

比較的軽度と言えそうなオペでも平均目安が4時間と考えると、今回の32時間というのがどれだけ長丁場であるかがわかりますね…・

もう一度、写真を見てみましょう

出典 http://j.people.com.cn

経緯を知ってから改めて見ると、その壮絶さをより深くイメージできたのではないでしょうか?

1枚の写真が物語る命の現場の最前線を捉えた貴重なワンシーン。プロとしての仕事ぶりに頭が下がる思いです。

そして、右上の方の手元をよく見てみると…!

満身創痍のVサインで応える執刀医

出典 http://j.people.com.cn

もう喋れない、腕を上げるのさえやっと…という満身創痍ながらも力強いVサイン。

緊張感から解き放たれた安堵で思わず出てしまったのでしょうか…。

出典 http://j.people.com.cn

3人の執刀医と共に戦った麻酔科医、看護師たちも同様に心底疲れ果てた様子で、そのまま倒れこんで眠ってしまっています。

背中一面を覆い尽くした汗が、その壮絶さを物語る…

出典 http://j.people.com.cn

取材を受けた執刀医の1人は「患者は15分以上心肺停止の状態だったが、手術により助かった。このたくさんの汗も無駄ではなかった。でも我々は特別なことをしたわけではありません。医療現場にはこういったケースもあるということが、あまり世間に知られていないだけです」と謙虚に話したそうです。

どんな仕事にも“プロフェッショナル”であれ

身を粉にして、他人のために自分を犠牲にすることが美徳である、そんな風に強調するつもりはありません。むしろ、この過酷を極める労働に意義を唱える方がいて然りかもしれません。

筆者がこの写真から感じたのは、1人の人間の命を繋ぎ止めるため、文字通り魂を削っている医師たちの姿に、医療業務を生業とするプロとしての意識の高さ、プライドを感じられたということです。

医療という仕事に限らずですが、サラリーマン、主婦、料理人、あるいは学生であっても、それぞれのプロとしての自覚と志しを持って行動すべきだということ。

「どんな仕事でも、その道の“プロフェッショナル”であれ」

そんな啓発を促してくれた、筆者にはそんな風に感じられる1枚でした。あなたはこの1枚の写真から、どんなメッセージを受け取りましたか?