最近流行っているSNSで、自分で撮った顔の写真を載せたり、近況を載せたりするなど、プライベートを公開するのは当たり前になっている。
しかし、投稿内容に少し背伸びしている場合はないだろうか。行き過ぎた「装飾」はもしかしたら心の病の可能性もあるのだ。
いい効果を生むこともあるナルシシズム 女性より男性に起こる?
「自惚れ」や「自己陶酔」といった、自分という対象を愛する行動は「ナルシシズム」と言う。
鏡の中の自分をくまなく見たり、SNSに投稿する写真も写りがよいものを使用したりする、そんな経験は誰にもあるはずだ。
ナルシシズムは、自己肯定感を味わうために、他人から賞賛されたいといった欲望から生まれるもので、自信を持つのにも役立つ。
現代における競争社会や成果主義の社会では、特に女性よりも男性にナルシシズムの傾向がみられるという(※1)。
ナルシシズムが問題になることも 嘘の妊娠報告で妊婦拉致事件!?
ただ、ナルシシズムも行き過ぎると問題を起こすことがある。他人からの賞賛を求めるあまりに、自分の望む姿が現実とあまりにかけ離れている場合には注意が必要だ。
先日見たテレビ番組でこんな内容があった。現実には妊娠していないのに、妊娠しているとSNSで公開した女性がいた。
友人達からお祝いを受けたことで追い詰められ、妊婦を拉致し胎児を手に入れようとしたという、アメリカで実際に起きた事件だ。
この事件は、自分のナルシシズムによる言動から起きた事件ともいえる。
行き過ぎたナルシシズムは心の病気「自己愛性パーソナリティー障害」
他人の賞賛を求め、自分を特別だと思うナルシシズムも、行き過ぎれば「自己愛性パーソナリティー障害」という心の病気だ。
アメリカでは、16人に1人が自己愛性パーソナリティー障害だと言われている(※1)。この病気には、次のような特徴がある。
1. 自分の望む姿が、現実とあまりにかけ離れている。
2. 尊大にふるまいをしがちで他人への共感が乏しく、対人関係で問題が生じやすい。
3. 他人からの賞賛を得て、自分が認められるためには、手段を選ばない。
4. 行動が反社会的である。
行き過ぎたナルシシズム「自己愛性パーソナリティー障害」の原因は?
心の病気とされる「自己愛性パーソナリティー障害」の具体的な発症のメカニズムは分かっていない。
しかし、育った家庭環境、社会の変化、脳内ホルモンの分泌の問題の可能性が指摘されている。
自己愛性パーソナリティー障害は、周囲の人間を振り回しやすく、孤立してしまうこともある。
また、抑うつや摂食障害など他の心の病気を合併してしまうこともあるので、専門医に受診して治療をすることが大切だ。
振り返ってみようSNS 自分を実物以上に良く見せようとしていない?
自分をよく見せるために、SNSであらぬ事実を投稿するといったことは、日常的に行われている。
もし、あなたやあなたの友人が何らかの「抑圧」を感じ、SNSで現実離れをした理想の姿を語っているのなら注意した方がいい。
人間関係に問題が生じるかもしれないし、それは心の病気への第一歩であるかもしれないから。